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  • 執筆者の写真あおぞらケアグループ広報部

ALS安楽死殺人についての考察②

何かの事象について考察する際に極端な事例を考えると思考の方向性が固まったりします。


ALSを含む中途重度障害者の方々の精神状態について考えるときに、私は徳田虎雄医師のことを考えます。

徳田虎雄医師は徳洲会グループの創始者であり、ALSにを発症してからも精力的に徳洲会グループの拡大、平等な医療という思想の拡大に邁進されいます。


彼はALSを発症してから精力的になられたわけではなく、ALSを発症する前と変わらず精力的な活動をされているわけです。


このことは「病床にあって人間が個としての特徴をいかに維持するか?」であるとか「そもそも人間の個としての特徴とは何なのか?」といったことに関して重要な示唆を与えてくれているような気がします。


私は介護職として「ALSを発症した患者様が個性を保ったまま病床で過ごせる条件」ということを考える際に徳田虎雄医師という極端な事例から3つの条件を考えてきました。


①自身の身体的な苦痛や不具合を最小化するための医療や介護の体制の構築やスキル育成

②発症前と同じように社会的存在として扱われる状況、もしくは扱われているというご自身の感覚

③ご自身が仕事などを通して社会に働きかけ、社会が何かしらの変化をするという状況、もしくはそういった感覚


①はまあ当然として、②③に関しては「社会」や「仕事」という概念に対する考え方みたいなことも関係してくるので、実現することが非常に難しいと思っています。


ただ、長く介護をしていて、患者様の「死にたい」という気持ちは、①よりも②③に深く関連するような気がします。

①のことで多少不具合があっても、②③が満たされていれば、やせ我慢で個性は保てたりします。


私たちは障害の有無に関わらず、「社会的な個の揺らぎ」「自分という個への疑い」のようなものが、自死へのきっかけになりえます。

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